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廃炉国際共同研究センター; 大阪大学*
JAEA-Review 2019-029, 36 Pages, 2020/02
日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉国際共同研究センター(CLADS)では、平成30年度英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(以下、「本事業」という)を実施している。本事業は、東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の廃炉等をはじめとした原子力分野の課題解決に貢献するため、国内外の英知を結集し、様々な分野の知見や経験を、従前の機関や分野の壁を越えて緊密に融合・連携させた基礎的・基盤的研究及び人材育成を推進することを目的としている。平成30年度の新規採択課題から実施主体を文部科学省からJAEAに移行することで、JAEAとアカデミアとの連携を強化し、廃炉に資する中長期的な研究開発・人材育成をより安定的かつ継続的に実施する体制を構築した。本研究は、研究課題のうち、平成30年度「燃料デブリ取り出しを容易にするゲル状充填材の開発」について取りまとめたものである。本研究は、デブリ取り出しの簡易化のため、粘度を調整した高分子・ケイ酸塩・粘土鉱物などのゲル状物質であれば、破損部から漏れ落ちることもなく周辺の空間線量率を低減し、また切削時に生じるダストの拡散・飛散を抑制できることから、格納容器内部をゲル状物質で充填することを提案する。
伊藤 主税; 内藤 裕之; 石川 高史; 伊藤 敬輔; 若井田 育夫
JPS Conference Proceedings (Internet), 24, p.011038_1 - 011038_6, 2019/01
東京電力ホールディングス福島第一原子力発電所の原子炉圧力容器と格納容器の内部調査への適用を想定して、光ファイバーの耐放射線性を向上させた。原子炉圧力容器内の線量率として想定されている~1kGy/hレベルの放射線環境に適用できるよう、OH基を1000ppm含有した溶融石英コアとフッ素を4%含有した溶融石英クラッドからなるイメージ用光ファイバを開発し、光ファイバをリモートイメージング技術に応用することを試みた。イメージファイバの本数は先行研究時の2000本から実用レベルの22000本に増加させた。1MGyのガンマ線照射試験を行った結果、赤外線画像の透過率は照射による影響を受けず、視野範囲の空間分解能の変化も見られなかった。これらの結果、耐放射線性を向上させたイメージファイバを用いたプロービングシステムの適用性が確認できた。
馬場 信一; 石原 正博; 相沢 静男; 関野 甫
JAERI-Data/Code 2003-003, 394 Pages, 2003/03
高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた高温工学に関する先端的基礎研究の研究テーマの一つである「耐熱セラミックス複合材料の照射損傷機構に関する研究」として、材料試験炉(JMTR)を用いて第1次から第3次までの照射試験を実施した。本報告は、その第1次照射後試験で得た照射誘起寸法変化,熱膨張率,X線回折及び線スペクトルについてまとめたものである。
岡 潔; 柴沼 清
Advanced Robotics, 16(6), p.493 - 496, 2002/12
被引用回数:8 パーセンタイル:39.11(Robotics)原研では、原子力事故時に極限環境下(特に高放射線)において、人間の代わりに情報収集や軽作業を行うロボットの開発を行っている。本件は、事故の拡大防止及び停止活動を行うための軽作業にかかわる作業を行うことを目的とした災害停止対策用耐放射線ロボット(Radiation-proof Robot)を製作し基礎性能試験を行ったので結果を報告するものである。ロボットは基本性能を確認するために走行機能試験及び遠隔操作試験を実施した。走行試験においては、前後左右方向の速度,再現性,操作性,動作時間を測定するとともに、30度の階段昇降が可能であることを確認した。また、遠隔操作試験においては、ドアの鍵あけ,ドアの開閉,バルブ開閉作業が正常に行えることを確認するとともに、各種の部品交換試験(エンドエフェクタ,カメラ,通信装置,制御装置等)を行い、交換時間,交換性を確認した。
木内 清; 井岡 郁夫; 橘 勝美; 鈴木 富男; 深谷 清*; 猪原 康人*; 神原 正三; 黒田 雄二*; 宮本 智司*; 小倉 一知*
JAERI-Research 2002-008, 63 Pages, 2002/03
本研究は、平均燃焼度100GWd/tを目指したABWR用の超高燃焼度MOXを念頭にした「高性能燃料被覆管材質の研究」のフェーズ1である。フェーズ1は、平成10年度に実施した基礎調査結果を踏まえて、平成11年度と平成12年度の2年間にわたり実施した。フェーズ1では、現用Zr系合金の使用経験データを解析して、超高燃焼度化にかかわる長期耐久性の支配因子を摘出及び高性能被覆管の要求特性に照らして耐食合金間の相互比較,フェーズ2の中性子照射試験等の基礎評価試験用候補材の選定を行った。
瀬口 忠男; 工藤 久明; 杉本 雅樹; 浜 義昌*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 151(1-4), p.154 - 160, 1999/00
被引用回数:25 パーセンタイル:84.81(Instruments & Instrumentation)高分子のイオン照射効果を力学的特性、分子鎖切断や二重結合の生成量を測定して調べ、電子線や線照射効果と比較した。特にLET効果を中心に検討した。その結果高分子の化学反応はLETにはほとんど依存しないという結論に達した。これをもとに、イオン照射のLETの作用をモデルで示した。
大島 明博*; 池田 重利*; 瀬口 忠男; 田畑 米穂*
Radiation Physics and Chemistry, 49(2), p.279 - 284, 1997/00
被引用回数:92 パーセンタイル:98.16(Chemistry, Physical)放射線架橋ポリテトラフルオロエチレンの耐放射線性を引張試験及びDSCによる熱分析から調べた。未架橋のPTFEに比べ、架橋したものでは、真空中・室温の条件では数百倍にその耐放射線性は向上した。
神村 誠二*; 渡辺 清*; 笠井 昇; 瀬口 忠男
Hitachi Cable Rev., 0(15), p.79 - 82, 1996/08
シリコンナイトライド(SiN)繊維を放射線照射利用により開発した。ポリカルボシラン繊維を原料とし、電子線照射で不融化処理した後、アンモニアガス中で焼成し合成した。これは2GPaの強度、10-kmの高電気絶縁性、1300Cまでの耐熱性を有するものである。用途として、家電、原子力、製鉄などの高温環境用電線絶縁材料に適している。シンバー(Sinber)という商品名を登録した。
星屋 泰二; 関野 甫; 松井 義典; 桜井 文雄; 江南 和幸*
Journal of Nuclear Materials, 233-237, p.599 - 603, 1996/00
TiPd系形状記憶合金は、第3元素としてFeやCrなどを添加することにより、変態温度を800Kから室温まで調整できるとともに、2%の形状回復歪を呈することから、高温用形状記憶合金として検討されている。しかしながら、同合金の高温変形挙動に及ぼす照射の影響については明らかではない。本報告は、JMTRにおいてTiPd-Cr系合金の中性子照射実験(照射量:310m(E1MeV)、温度490K)を実施し、照射後X線解説試験結果から、残留歪と照射量の関係について検討した。その結果、TiNi系合金の場合、規則構造はフルエンスとともに変化し、速中性子フルエンスが10mを越えると大きな残留歪を生じた。一方、TiPd-Cr系合金では、照射に伴う残留歪や構造変化は殆ど無かった。TiPd-Cr系合金の照射下の相安定性に関する検討結果から、同合金が優れた耐照射特性を有することを見出した。
有金 賢次; 大友 昭敏; 笹島 文雄; 高橋 秀武; 瀬口 忠男; 村上 滋*
JAERI-Tech 94-004, 33 Pages, 1994/07
芳香族系ポリエーテル樹脂(BEK)の原子炉照射による機械的性質の変化等を明らかにし、JRR-3M気送管で最大150時間の照射が可能な試料照射用キャプセルを開発した。JRR-3M気送管における試料の照射は、これまでポリエチレンキャプセルの使用で最大20分に制限されてきたが、BEK製キャプセルの開発により長時間の照射が可能になった。また、BEKは、ポリエチレンと同様に誘導放射能が低いことから、照射後の試料の取扱いも簡便である。本報告が、BEKの原子炉照射による特性の変化と、キャプセル開発の研究をまとめたものである。
瀬口 忠男; 杉本 雅樹*; 岡村 清人*
High Temperature Ceramic Matrix Composites; 6th European Conf. on Composite Materials: HT-CMC, p.51 - 57, 1993/00
ケイ素系有機物の繊維を電子線照射して不融化処理することにより、1700Cに耐えるSiC繊維を合成することができた。また、有機物からセラミック繊維への反応課程をガス分析とラジカルの生成挙動で解析し、反応の起る温度域と反応の構造を解明した。この研究により、セラミック反応の最適条件を把握できた。
佐々木 貞吉; 馬場 祐治; 山本 博之; 笹瀬 雅人*; 磯部 昭二*
Surface and Interface Analysis, 20, p.682 - 686, 1993/00
被引用回数:4 パーセンタイル:21.41(Chemistry, Physical)TiO及びVOを1.5~15keV He,Ar,Xeで照射し、絶縁体から半導体の変化することを見い出した。表面電気伝導度は110Ar/cmの線量で数10cmであった。XPSによる検討の結果、表面酸素量は減少しTi(II),Ti(III),V(IV)などの還元化学種が生成していることがわかった。また、UPSスペクトルのEレベル近傍に新たにピークが出現し、この非結合性3d電子がチャージキャリアーになると考えた。伝導度測定及びXPS測定のデータより、イオン1個当りの酸素欠損量が求められ、8keVHeで60個、8keVArで110個、8keVXeで300個と決定された。
荒川 和夫; 曽田 孝雄*; 貴家 恒男; 中西 博*; 赤田 民生*; 八木 徹也*; 萩原 幸; 瀬口 忠男
JAERI-M 90-133, 33 Pages, 1990/08
本報告書は、グリースの熱劣化、放射線劣化および放射線・熱複合劣化試験を行なった結果について述べたものである。放射線・熱複合劣化試験には、高温下における放射線劣化、放射線熱逐次劣化試験及び熱放射線の逆逐次劣化を含んでいる。グリースの耐放射線性は、ちょう度変化、重量減少(基油等の揮散・蒸発量)および基油の分子量分布の変化から評価した。高温下における放射線照射試験において、全てのグリースは、著しい変化を示した。この挙動は、劣化の初期に硬化するものおよび初期に軟化し、その後硬化磨るものに大別できる。グリースの硬化は、重量減少と基油の架橋により生じ、一方、軟化は、ゲル構造の損傷により生じることが実験的に確認された。また、グリースの劣化の挙動には、放射線と熱の相乗効果のあることが見出された。
星屋 泰二; 高田 文樹; 木崎 實; 田昭 治*; 須藤 健次; 坂倉 敦; 市橋 芳徳
JAERI-M 89-205, 68 Pages, 1989/12
相変態材料に関する照射後物性データは、相変態挙動研究に必要な遠隔操作型温度可変式物性測定装置が開発されていないため殆ど報告されていない。このため形状記憶合金特有の形状特性と密接に関連する照射後変態特性変化を解明する目的で、温度可変式の遠隔操作型電気抵抗測定装置を初めて開発した。更にその装置を用いた形状記憶合金の照射後等時焼鈍実験及び等温焼鈍実験(照射後試験)を実施した。その結果、本装置に用いた単純試料駆動方式による温度制御方法はガンマ線感受性の高い半導体や温度センサーを使用しないため操作性及び信頼性の点からも遠隔操作型物性測定装置に最適であり、他の遠隔操作型装置への応用も可能であることが判明した。遠隔操作型電気抵抗測定装置は照射後の物性測定を行ううえで簡便な実験手段であり、構造敏感(structure sensitive)であるため中性子照射感受性の高い相変態材料の研究に有用である。
岩瀬 彰宏; 渡辺 光男; 岩田 忠夫; 仁平 猛*
Japanese Journal of Applied Physics, 28(11), p.L1939 - L1941, 1989/11
被引用回数:14 パーセンタイル:61.07(Physics, Applied)酸化物超伝導体Bi-Pb-Sr-Ca-Cu-Oを液体チッソ温度において120MeVのOイオンで3.510/cmまで照射した。転移温度と臨界電流はイオン照射量の増加に伴い減少した。照射後の300kまでのアニーリングにより、転移温度と臨界電流は回復したが、100k以上における電気抵抗の回復はみられなかった。
斉藤 敏夫*; 瀬口 忠男; 長野 昭三郎*; 大前 巌*
JAERI-M 89-096, 28 Pages, 1989/08
ポリ(エチレン-2、6-ナフタレート)およびポリ(エチレン-テレクタレート)を真空中および酸素雰囲気で線照射し、分解ガス分析、分子鎖の架橋切断、熱的および機械的特性を調べて照射効果と耐放射性について検討した。PENとPETの分解ガスの主成分はCOであり、H、CO、CHが観察された。G(CO)はPENで0.04、PETで0.07であった。真空中では、PENでは架橋が起るのに対してPETでは主鎖切断が支配的であった。酸素中照射ではPENの架橋は阻害された。引張試験から耐放射線性を評価すると、酸化の起らない条件において、PENは12MGy、PETは2MGyであり、酸化条件においてはPENは4.5MGy、PETは1.4MGyであった。
熊谷 勝昭; 横尾 宏; 北原 種道; 海江田 圭右
JAERI-M 6200, 22 Pages, 1975/08
原子炉内の放射線環境下における抵抗線ひずみゲージの挙動を調べるために一連の照射実験を行った。ベークライト基材、アドバンス(ニッケル-銅合金)素線のゲージをステンレス鋼又はアルミニウム合金の板に接着し、JRR-2に設置されたインパイル・ヘリウムループTLG-1中でゲージ温度を一定(約80C)に保ちながら約300時間照射した。このときのみかけひずみ及び素線-被測体間の基材に流れるリーク電流などを測定した。結果は次のように要約できる。(1)照射によるゲージ感度の変化及びゲージの絶縁劣化は殆んどなかった。(2)みかけひずみは放射線強度に依存して発生するものと、照射積算量に依存して発生するものの2つに分類できる。両者ともゲージ抵抗が減少する方向の変化であった。(3)前者のみかけひずみは主に線によって基材中に流れるリーク電流に基ずくものであると考えられる。一方後者の原因は明確にすることができなかったがゲージ素線の放射線損傷による抵抗減少と推定される。(4)ハーフブリッジ又はフルブリッジ法により、みかけひずみを補償して、動的ひずみは勿論、短期間の静的ひずみも充分測定できる。